正義の味方を辞めてマグロになる
好きな言葉は、【前進】。嫌いな言葉は【愚痴】。マグロのように止まることなく常に前へ前へ進み、止まることは【死】を意味します。だから、【愚痴】は【停滞】を意味するので発した瞬間僕は血を吐いて死ぬのです。
そして、そんな僕は今日もサーモンを食べます。
さて、今週も書庫から1冊持ってきましょうか。
今回は、【AX】に続く僕のお気に入りの一冊となっています。
つまり僕の読書人生のベスト2になる作品です。そんな作品とは、【火星に住むつもりかい?】です。
↑【AX】は僕の一押しですので、興味がある方は是非1度手に取って読んでみてください
さて、宣伝もできたので、早速【火星に住むつもりかい?】について触れて行きましょう。
舞台は、中世の魔女狩りのような簡単に処刑が行える法が適用された現代。つまり、罪のない人間も容易に処刑ができる世界。そんな世界に疑問を持つ一人の男。彼は、人一倍正義感が強く、この理不尽な法に謎の球体を手に立ち向かう。
【駆け出し小説家の視点】
僕が感じた、今回の物語の脊椎部分は【冤罪に対する訴え】でした。作中で直接的な表現はされてはいないものの、物語の節々に散りばめられている罪のない人間が裁かれる表現、他人事のように噂話をする人々の表現から、伊坂幸太郎先生の【冤罪】に対する思いがこの作品で一番重要だと感じ取りました。
そして、この【冤罪】に立ち向かう正義の味方の影が一人あります。
僕はこの正義の味方がこの作品、いや今まで読んできた作品の中で一番好きな表現でした。
なぜなら、過去の僕に似ていたからです。
昔の僕も人を助けることが正しいと思っていたのでTwitterや知り合いなどを対象に、人生に絶望している人たちに声をかけ、話を聞き救い上げようという活動を個人で行っていました。
しかし、作品中の正義の味方のように気づいてしまったのです。
一人を救いだすと、他の困っている人たちすべてを助けなくては偽善だということに。
そして、それが不可能なことに。
それを知った僕は、悩み、苦しんだ結果今まで関わってきた人たちだけでも責任もって救い続けようと決めました。
そして今では、正義の味方を辞めて前進し続けるマグロになったのです
こういった、経験や気持ちの変化が作品中の正義の味方の心情と重なって見え、僕の中で一番好きな表現となる理由となりました。
【物語の構成】
大まかな物語の構成は、一般的な起承転結を基に物語が進んでいきます。
そして、伊坂幸太郎先生お得意の時間軸が異なる展開は健在で、今回は街中に設置されている防犯カメラが物語の様々な時間軸の情報を集め、読者にだけ提供するといった構成の補助要素になっていました。
この防犯カメラを起点にする発想もまた、斬新だなと僕は感じました。
【最後にひと押し】
この作品には、構成や視点で語った面白さ以外にもう一点押しポイントがあります。
それは、ハードボイルドな描写です。
【AX】の時のようにも似た戦闘シーン、僕の好きな正義の味方が【正義】のために戦っているシーンは、小学生が日曜日に早起きして仮面ライダーを応援するような感覚に似ているものを感じました。また、謎の武器を携えて戦う正義の味方は、中学生の時に誰しもが妄想したことのあるような感情に浸ることができます。
【最後に】
お疲れ様です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は、僕の中でベスト2に入る作品でしたのでつい熱く語ってしまいました。前回掲げていた自分の価値観と重ねて書くことができたので僕は満足しています。後は読んでいただいた皆さんがどのように感じるかですね(笑)
次は、ゴールデンスランバーを書庫から持ってこようかなと思います。
この作品もハラハラドキドキするような展開になっていますので語るのが楽しみです。
それでは、さらばだ~